最近のアリーナフォーマットについての考察
初めましての方は初めまして、Eraと申します。
かれこれShadowverseサービス開始から4年の間、アリーナを細々とやっていた人がJCGを経てRatingsへ、LOSや非公式ながら2pickのレート杯に出たりなんだりしてた人です。
今から書く内容は「2pickを競技的の取り組み続けている人」*1、「2pickってフォーマットが大好きな人」に含まれる人に対してのニッチな需要を満たす考察なのかもしれないです。
いや、特にそういうのは求めてないとか、ちょっと違うなって感じた方も宜しければ見て下さると何かの役に立つかもしれないです(かもしれないため)。
拙文ながら私がここ最近の2pickっていうフォーマットに対して思うことを変化という点でつらつらと書いていきたいと思います。
目次
高レア環境と特性からみるクラス間カードバランスの変化
このpickという競技に革新的(これは個人的な見方ですが)な梃子入れが始まったのはALT以後の"高レア枠の拡張とN金虹が最初の掲示とN枠へ移行"から始まります。
その前にも老いたる先導者暗黒の召喚士などのコスト修正や掲示順の変動(N枠と銅銀の割合)などが変わっていましたが、"金虹枠が最初と最後2枚ずつに来る4枚体制"から"中間にも拡張されて6枚体制"にシフトした事が競技性に(それも根本的に)それまでと比べて大きく影響を与えた事が否めないと私は思っています。
何故6枚体制が大きく影響を与えたかと言うと単純な期待値の問題です。
簡易的に説明しましょう。
(引いた枚数X枚当たりの期待値Pとして)
4枚の場合
X | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
P | 0 | 0.13 | 0.26 | 0.39 | 0.52 | 0.65 | 0.78 | 0.91 | 1.04 |
6枚の場合
X | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
P | 0 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 | 1 | 1.2 | 1.4 | 1.6 |
単純な確率分布ですがこのように30枚で4枚の場合と30枚で6枚の場合とでは一試合に出て来るであろう高レアの割合が約1.5割違うんですよね。
さらに言えばこれは今期から入る"N枠の虹であるガブリエル、同様N枠の金である爆炎"を考慮していないので潜在的な金虹枠はまだ数値以上に存在しています。
金虹の枚数(期待値)が大きくなるとどうなるのか、試合の前提が高レアを複数とすることが標準になるんですよね。
これまでスタッツの上重ねや、銅銀の警戒をベーシックに進んできた10PPまで(それ以上)の試合進行でしたが、高レア介入度合いが高まってハイバリューな試合を10PPまで進行することになります。
今までは4枚時代で山下15枚下に2枚埋まっている事もままありましたが、これからは15枚上に3枚以上の期待値が見込められるという事で、ゲームがコンボデッキ(空中戦)に寄っていくんですよね。(後述するコンボデッキ云々も参照)
さて現環境のPickプール、とある要素が著しくバランスが崩れているんですよね。
それは何か。
特定のカード特性の種類です。
それも機械という特性です。
各クラスの機械での検索を見て見ましょう。
E
6枚、ナーフ影響でもそこそこ単体で優秀なフォロワーとして機械が導入されました。
機械プレイ時っていうのが発動できるかは定かではないですが...
R
3枚、最小ですね、これは逆にノイズが少なくてとても良いです。
このRってクラスは特性の坩堝と称されるレベルで色んな特性でごった煮返していましたが、最近になってレヴィオン/兵士/指揮官等、併用する事でなんだか持ち直しているイメージですね。
W
5枚、問題児、多分運営の私怨だと思います。
D
6枚ですね、Dは良い方でそこそこシナジーに期待出来ますね。
Nc
4枚、こちらは単体での活躍が多い分、少な目で4枚ですね。
V
4枚、単体寄りに見せかけつつも大分ゴミが多めなのと数が少な目です。
B
これも機械の枚数自体が少ないので単体での活躍が多いです。
Nm
11枚。
ん?
なんか一つだけ明らかに凄いプールを持っているクラスがいますね...
これはローテされるカードプールが4環境である点と、機械軸と自然軸を併合しているカードコンセプトによってここまで機械種類の枚数差が生じています
これらのWUPから追加されるカード群ですね。
機械・自然で何故ゴリラが入ってないんだろうとか言わない。
まあ、つまりデッキ構築をする上でバランスが良くないっていうお話です
「いやいや機械の種類が偏在しているだけで、パワーバランスに問題がある訳ではないだろう」
「他の軸を組み上げていけばいいだけであって、そこまで弊害がある訳ではない」
弊害、あるんです。
それは、この後の「グッドスタッフデッキからコンボデッキへ、要求の変化」でも触れますがデッキを組む際にどうしても「機械軸のカードが存在するならこのカードと入れるべきだな」や「機械が無いならこのカードを入れずに(避けて)取るべきだな」があるんですが、方針として取る際に母数(プールに存在する機械の数)が少ないなら後者の「機械が無いならこのカードを入れずに(避けて)取るべきだな」となる筈なんです。
つまり、大抵のクラスおいてはノイズや単体で完結する型で、しかし"特定のクラス"においてはノイズではなくコンボに寄れる(≒シナジーとして機能する)っていう話になるのです。
これはPickする上でのクラス間のバランスが良くないと私は思っています。
例えば(特にWを取る時)に、機械軸が掲示された場合抱き合わせで強いカードが掲示した場合、リスクを鑑みても"著しく避けなければならない札を取らないといけない"場合が出て来る事に比べ、避けなくても十分ノイズでないように機能するクラスが存在することが構築難易度に著しく差が発生する為です。
グットスタッフからコンボデッキへ、要求の変化
さて、先の「環境とクラス間カードバランスの変化」を鑑みるに今環境のROG,VEC,UCL,WUPの様々なコンセプトテーマの乱入から金虹マシマシでハイバリューな試合を毎回仕掛けなければなりません。
そうなると単純なグットスタッフで進行するだけでは上位群のリーダーにはとてもじゃないですが太刀打ちできません。
そうなるとどうなるのか、"コンボデッキを作成する事"になるのです。
え?いやいやこんな雑多なプールでコンボデッキ?ご冗談を
...
今期から多めに渡される金虹枠を利用するのです。
特に分かり易い例はWです、Wは"魔法道具専門店"や"猫耳魔法使いキャル"を主軸としたコンボの繋ぎまでにひたすら銅銀で除去をします。
それは何故か、それ以外での勝ち筋が劣っている(or勝ち目が薄め)と捉えられるようなカードプールを渡されているからです。
せめて自分から高スタッツや上を望める勝ち方があれば良いのでしょうが、上位に比べ大体のカードはそれらよりも低めに(コンボ寄りとして)設計されています。
これは余談ですが、競技性という面を「フォーマットの仕様」と「競技者の技術の介在」の二つの関係から考えてみると、ローテを想定したカードプール設計でこの2pickのみ4環境というリミテッドフォーマットのコンセプトに限界が来ていると言っても過言じゃないと、ちょっと私は思っています。
終わりに/ちょっとネガティブなこと
ここまで長々と閲覧して下さってありがとうございます。
私個人、最近の2pickには大分疲弊してきていてこれは倦怠期なのかそれとも、競技性という言葉に疑念を抱くようになったからかもしれないです。(単純に勝ててない言い訳なのかもしんないですが...)
ここから本当に余談なんですが、(クラス間の格差による)競技性の乖離が見られたとして、界隈のメリトクラシー的考え(実績ファースト、または目に見えた数字でのみ反応する)に対して何の効力もない以上どんな環境であっても向き合うしかないのがカードゲーマーとしての運命染みたモノなのでしょう。
ので名誉欲や純粋な対戦ゲームを求めている人に対しては酷な競技なのかもしれないと思っています。
逆に言えばその都度の環境(ゲーム)に存在する一般解を理解し続けろ、とも言っているのかもしれないです。
どの環境にも通用出来るような一般解などを無くして。
再三していいますが、かなり酷だなと思います、そう考えるとコンスタントに勝ち続けるプレイヤーは凄いのだと思うと同時にどれだけ(ある程度の)上を引けるんだって思うのが(これは上を引いた時の自分にも言えることで)この再現性云々と競技性云々とで議論されるゲームの宿命なのでしょうかね。
それでも、私はこの競技を続けるでしょう、よくない惰性なのか、それとも愛ゆえになのか、サービスが終わるその日まで
...
もしくは2pickJCGの賞金が無くなったらなのかもしれませんが。
*1:一応私含め